歯科技工所の現状
1991年に72校あった歯科技工士養成施設が、2016年には52校、2023年には46校となり、同時期の養成施設入学者数は、1991年に3155人であったのが、2016年には1032人と減少、2023年には718人であり、養成施設定員数の5割程度である。
資格取得後も就業した歯科技工士の離職率は高く、業界の存続に関わる問題である。
資格習得後の歯科技工士免許登録者も減少しつつあり、2022年では26.6%でしかない。
歯科技工所開設者の年齢区分でも、2022年の調査で30代未満が5.5%、50代で26%、60代で38%であり、50代以上が実に約8割と高齢化が進んでいる。
長時間労働、低賃金など過酷な労働条件を背景に、アンケート調査では歯科技工所の後継者なしという回答が83.7%である。
歯科技工士の社会的地位や賃金等は、歯科技工士の技術と労働に見合った水準にはほど遠いのが現状である。
歯科技工所は、歯科医師からの指示と委託を受け歯科技工物を製作し、その対価として歯科技工委託料を受け取ることができる。
この料金が歯科技工所の経営の根本的原資であり、歯科技工委託料は歯科診療報酬で規定されており歯科技工士の働き方や収入はこれに基づいているといっても過言ではない。(「7対3」大臣告示)
歯科技工業界をめぐる最大の問題は経済問題である。
その根源は、低歯科医療費対策であり診療報酬の大幅な引き上げを行い歯科技工所に適切な技術料が渡るルール策定が喫緊の課題である。
いまこそ、これ以上の歯科技工士数の減少を食い止めなければならない。
早急に歯科医療補綴物の供給の根幹を支える、歯科技工士の人材育成の仕組みについて検討する必要があると思われる。